おなかの中に人がいます。
命を授かりました。
おなかの中に生きている人がいるというのは、
なんとも不思議な体験です。
自分の意識と無関係のタイミングで動いたり、
しゃっくりをしたりする人がいるのです。
何を聴いて、何を感じているのでしょう。
私の発した言葉も、歌も、げっぷも、おならも、
全部聴いているのでしょう。
人の陰口や悪口、愚痴やため息はもう、
自分の口からは出さないと決めました。
すぐ側で聞いている人がいるから。
聞きたくなくてもどうしても耳に入ってしまうだろうから。
そしてもっと素敵なものをたくさん見よう、聴こうと決めました。
春のまぶしい新緑、かわいい声でさえずる鳥、
勢いや美しさのある音楽、昔から歌いつがれている歌、
瑞々しい旬の食べ物、鋭い感性で仕上げられる料理、
選ばれた言葉の連なり、美しい場面を切り取った映像。
見渡してみると素敵なものはいくらでもあるのです。
それを意識して見ようとするか、聴こうとするか、しないかで、
随分と生活は変わるのだと改めて感じています。
まずは自分が楽しいと思うことを。
それはきっとおなかの中の人も楽しいはずだから。